新聞を読む

まあ、このまま何のネタも無しってのも後で読み返した時アレなので、ニュースの話題でも。


毎日新聞、18日朝刊の一面にて「対中韓関係、「小泉首相は努力不足」76%」という世論調査の結果が掲載されていました。

*記事
http://www.mainichi-msn.co.jp/search/html/news/2005/04/18/20050418ddm001010067000c.html

社会調査士*1志望の俺としては世論調査と聞いては黙ってられません。早速この調査についてチェックしてみました。
細かいパーセンテージはチェックしてないんですが、以下疑問に思ったところ。

調査方法そのものの問題

今回の調査は電話調査だったが、電話調査は回収率が決して高いとは言えない、対象とする人間に辿り着くまで手間がかかる、正確さに欠けるといった欠点がある*2
最初のデモ発生(3日)から二週間ちょっとしかなかったことを考えれば緊急性がある事象に対して効果的な電話調査を選んだのも仕方が無いが、調査の信頼性は低下していると思う。

RDSについて

今回の調査について、記事には「RDS(ランダム・デジテット・サンプリング)法で全国の有権者1000人を目標に電話で調査し、1019人から回答を得た」とある。
RDSは先にある地域を設定することで電話番号の下四桁以外を決定し、下四桁をランダムに決定する方式であるが、ここでは「ある地域」が何処かが明らかにされていない。
「全国の有権者」というからには複数の地域を(おそらくは日本の人口比も考慮した上で)選択しているのだろうが、選択した地域によっては偏りが発生する可能性もあるのではないか。

回収率について

「1000人を目標に電話で調査し、1019人から回答を得た」と言うが、何人に依頼したうちの1019人なのかが書かれていない。回収率が極端に低い(60%未満)調査は信頼性に欠けると言われている。

質問内容について

小泉首相は中国、韓国との関係改善に向けて十分に努力していると思いますか」といいう質問があるが、これは一つの質問の中で二つの事柄(この場合「中国との関係改善」と「韓国との関係改善」)について問う「二重質問」にあたる可能性がある。
…まあ、この二つを分けて考えることにさほど意味は無いのかもしれないが。

まとめ

とりあえず具体的な数字以外で気になったのはこんなところ。
チェックしてみて思ったのは「意外とちゃんとした調査やってんじゃん」ってことでした…ってそりゃ大学生がぱっと見て突っ込めるような調査やらないのは当たり前か。
でもこうやって出て来たデータを自分で検証するってのはこれはこれで楽しい作業です。次は信頼区間とか出してみたいな〜。

参考資料

谷岡一郎『「社会調査」のウソ ―リサーチ・リテラシーのすすめ』(文春新書)*3

*1:参考→http://wwwsoc.nii.ac.jp/jcbsr/

*2:ただし面接調査法より国勢調査の人口比に近いサンプルを回収できる利点もある

*3:アマゾンURL→http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166601105/249-2878099-8828335